早春の味覚
昨日、近くの小流れの脇に、半分雪をかぶった蕗の薹を見つけた。
せっかくのお目覚めのところ、少しかわいそうな気もしたが14,5箇を摘み採って帰った。
蕗の薹はそのほろ苦さと、ほのかな渋みが何ともいえぬ春の息吹を感じさせ、大人の味覚を刺激する。
早速、さっと熱湯にくぐらせ、えもいわれぬ早春らしい色を保ったままの蕗の薹をすり鉢ですり、酢味噌をつくった。
そのままで酒の肴に、湯豆腐の上に載せてご飯のおかずにし、早春の息吹を味わった。明日は味噌汁に入れてみよう。
蕗は菊には似ていないが、キク科フキ属の多年草で日本原産。早春にいち早く花茎を伸ばし、紫の袴から萌葱色の顔を覗かせるのが蕗の薹だ。
毎年この時期になると、散歩の途中はこの顔に会いたくて草むらをきょろきょろする。今までに3か所の蕗の薹の出る場所を見つけているが、人はあまり興味も関心もないのだろうか、誰も採る人はいないようだ。
蕗のたうほろほろにがき香さへしてさやかに吾れの手につまれけり 馬場あき子
紫の衣ほどけて蕗の薹 古希漢