Himagine雑記

思いついたときに気ままに書く雑記帳

私は貝になりたい

     
 久しぶりに映画を見た。「おくりびと」以来だ。今度の「私は貝になりたい」は1958年のTBSドラマのリメイク版である。1994年にも最初のリメイク作品が上映されたらしいから、今度のものは、橋本忍の3回目の脚本作品という訳である。第1作から既に半世紀たち、橋本は今年で90才になるが、よほど思い入れが深い作品なのだろう。第1作の清水豊松を演じるフランキー堺主演版はテレビの再放送で見たが、第2作の所ジョージ主演版は、それがあったかどうかさえ記憶にない。ストーリーは既に前作或いは前々作を見た人には不要だし、今回作品が初めてでまだ見ていない人には事前に知るのは迷惑だろうから語らないが、数多い戦争映画に通底する、戦争の愚かさを訴えたものである。いきおい第1作と比べてしまうが、第1回作のモノクロスクリーンと今日のカラースクリーンとの違いは措いても、前者は重厚である。前者の主役ののフランキー堺は平凡な理髪店主としていい役を演じ、今回の主役、SMAP中居正広も高知の港町の実直な青年を演じている。本日の映画は、初めのシーンの背景の四国山脈のたたなづく山々、雪深い山里、全山紅葉の山道等最新の映像技術を駆使したパノラマ風景が美しすぎる気がした。音響もこれまた最新技術を極めて効果満点だが、少し大げさすぎるかなと思った。「上官の命令は天皇陛下の命令である」を常に振りかざして二等兵を殴り、蹴りする立石上等兵役の六平直政巣鴨プリズンの同房死刑囚役の笑福亭鶴瓶らの演技はなかなかのもの。
最後の絞首刑シーンは床板が開くと同時に、すとんと目隠しの死刑囚が落ちて一瞬手足がけいれんするところまであったが、こんな残酷シーンは初めて見た。まさに、〈killed by hanging〉であった。
 帰ってからyoutubeで50年前の第1作品のダイジェスト版(9分)を見たが、主役の台詞は殆ど同じであった(3作とも脚本が同じ橋本忍だから当然だが)。この種の映画はモノクロの方が、僕は好きだ。
 始めから終わりまで、後ろの二人が紙袋の音をごそごそさせているのが気になってしょうがなかった。館内に飲食物を持ち込ませないようにできないものか。茶の間でテレビを見てると同じに思っているKYどもは映画館には来るな(-.-#)