Himagine雑記

思いついたときに気ままに書く雑記帳

 満開

  
  
日本列島は南から北へ、猛烈な春の嵐に襲われた。ところによっては台風以上の被害で、死者も出てしまった。地震津波・大雨による土砂災害・雪解けによる土砂崩れ等と、このところ、「天災は忘れる間もなく」やってくる。
 だが、季節は忘れずに巡り、桜(ソメイヨシノ)も例年の開花日にやや遅れたとはいえ今や満開。目の前の関の江新町公園の5本のソメイヨシノも満開となった。先日の春の嵐は満開直前に通り過ぎたが、満開を迎えた今日もまだ強い風は残り、少し花びらが舞っていた。
この時期になると思い出す詩のフレーズがある。ハナニアラシノタトヘモアルゾ 「サヨナラ」ダケガ人生ダ である。思い出したついでに井伏鱒二が訳した原詩を探してみた。晩唐の于武陵の五言絶句「勧酒」である。

 勧 君 金 屈 巵  コノサカズキヲ受ケテクレ
 満 酌 不 須 辞  ドウゾナミナミツガセテオクレ
 花 発 多 風 雨  ハナニアラシノタトエモアルゾ
 人 生 足 別 離  サヨナラダケガ人生ダ

漢詩が読めなくても、何ともわかりやすい訳である。‘言葉の錬金術師’と言われた寺山修司も生前、この訳詞を好んで愛唱していたとか。
高校で習った孟浩然の「春暁」も、井伏鱒二の手にかかると、

 春 眠 不 覚 暁  ハルノネザメヲウツツニ聞ケバ
 処 処 聞 啼 鳥  トリノナクネデ目ガサメマシタ
 夜 来 風 雨 声  ヨルノアラシニ雨マジリ
 花 落 知 多 少  散ッタ木ノ花イカホドバカリ

と、これまたわかりやすい名訳となる。
今日の気象情報では東北や北海道では雪だるまのマークがついていたが、今年ほど例年になく寒さが厳しく、長かったことはないのではないか。しかし、このところ花や草が一気に春を連れてきたように思える。狭畠のミズナもブロッコリーも花を咲かせてしまった。
 
    ミズナの花              ブロッコリーの花
サンショウの若芽もまぶしく光り、ジャガイモも芽吹いた。
 
    サンショウの若芽              ジャガイモの芽
濯ぎ物あらぬところに春疾風  古希余