Himagine雑記

思いついたときに気ままに書く雑記帳

 啄む

 先日、久々に南立石公園を散歩した。梅の盛りは過ぎていたが、馬酔木の花がこぼれるように咲いていた。10羽ぐらいのメジロの群れが、梅から梅へ移動して残り少ない花の蜜を吸っては花びらを散らせていた。メジロの一群は、梅の花から紅い寒緋桜の花へと飛び移っては蜜を吸っていた。
    
    
よく、取り合わせのよいことのたとえに「梅に鶯」というが、梅に鶯がとまっている風景はあまり目にしたことがない。鶯の鳴き声が梅林でよく聞こえることから、梅と「ホーホケキョ」と鳴く鶯の妙なる声とのマッチングが「梅に鶯」という言葉を生んだのだろう。決してケチをつけるわけではないが、「鶯色」というけれど、鶯の羽の色は地味でそんなにきれいではなく、むしろ、鮮やかな黄緑のメジロの羽の色の方が美しい。ふつう、「鶯色」と表現する色は、メジロの色をイメージしているように思われるがどうだろうか。
梅の花をこぼしながら次の木へ飛び移っていく目白を見て、見えかくれ居て花こぼす目白かな 富安風生 の句を思い出した。帰宅して歳時記で確かめると、なんと夏の季の例句としてあげられていた。春の季語である椿や梅、桜の蜜を好んで吸うメジロの姿を見慣れているので、メジロは春の季語と思っていたら、夏の季語だった。他の歳時記では、秋の季語となっているのもあってさらに驚いた。富安風生のこの句は春の目白を詠んだものとばかり思い込んでいたが…。
    
    
 芽ぐみ始めた桜の枝をコツコツつついているのはコゲラだ。キツツキ科では最小の体長15センチほどの小鳥で、よく我が家の裏の樟に来てつつく音で挨拶をしてくれる。木の皮の下の虫をつつきだしているようだ。まさにキツツキ(啄木鳥)である。小なりといえども啄木鳥、物凄いスピードで堅い木の幹を穿ち、その強靱な嘴と頸骨で虫をつつき出すとは他の鳥類には真似できないテクニシャンである。
 
 植物は正直だ。暖かい日和が二日も続くと一挙に花が満開となる。
    
    
 産声とやんちゃ坊主と桃の花 昭子 この句は、先日の句会で採らせていただいた好きな秀句である。桃の花を詠んだ句では、故郷はいとこの多し桃の花 という子規の句を思い出すが、いずれも桃の節句のお祝いの場を詠んだものとすれば、上の産声と…の方が子規の句より断然面白い。