Himagine雑記

思いついたときに気ままに書く雑記帳

 おもちゃ箱コンサート


 
去る23日、第10回おもちゃ箱コンサートを聴きに行った。
この何とも愉快なネーミングのコンサートは2001年に始まった。名付け親は国立西別府病院の筋ジス病棟で療養していたバタこと詩人の故・河端洋安さんだ。そしてこのコンサートを始めた男が、彼と同じ病棟の親友芦刈昌信さんである。西別府病院では昔から入院患者さんたちの音楽活動が盛んであった。そのうちに病院内だけでなく、広く一般に自分たちのバンドを聞いて貰い、さらに院外の音楽仲間ともジョイントをしたいという思いが、障害の有無にかかわらずみんなで音楽や詩の朗読を楽しもうということに発展し、「楽しいものがいっぱい詰まったおもちゃ箱」のようなコンサートをやろうということに発展した。コンセプトはこころのバリアフリーのためのコンサートである。はじめは大分の社会福祉会館で行っていたが、リーダーの芦刈さんの、自分を生み育ててくれた野津の町でコンサートをしたいという思いが募り、とうとう数年前から野津中央公民館を会場におもちゃ箱コンサートが開かれるようになった。以来、野津中央公民館は久しくおもちゃ箱コンサートのホームグラウンドとなっているが、今年10回目を迎え、ひとまずファイナルコンサートとなった。
今日の最後のコンサートも、さまざまなジャンルのプログラムであった。
 親和太鼓
まずオープニングは、地元野津高校の和太鼓部の力強い太鼓がによる歓迎。黒づくめの揃いの衣装が若さをほとばしらせた。
スマイリーズ
恵みの聖母の家」の皆さんが、「ときめきルンバ」「風になりたい」の歌に乗せて車いすダンスを披露した。
  
ダブルけんご
    
高次脳機能障害のコンビがギターとボーカルですばらしいハーモニーを聞かせてくれた。なんと二人の「けんご」は同じ漢字の「建吾」。ギターもボーカルもうまいもんだ。最後のオリジナル曲old;">「俺のガソリン」はユニークで迫力満点。

早野香寿代    
    
香寿代さんは西別府病院では芦刈さんや故・河端さんの頼りになるお姉さん格で、第1回目からよきアドバイザーとなっている。今回は第1回出演以来の久々のステージで「奇跡」「悲しみ色のビー玉」の二つの詩を朗読。
みずほ厚生センターマーチングバンド
    
第4回から連続出演で、「宝石」「ドラムマーチ」「クラリネットをこわしちゃった」など楽しく賑やかな演奏を聴かせてくれた。
川登小学校
    
6人の2年生が、「一人の小さな手」「さんぽ」などの曲に合わせて、手をつないで一つになることの楽しさを歌や身振り、手話などで上手に表現した。かわいらしく微笑ましかった。
樫の実少年少女合唱団
    
この結成31年目の津久見の子ども合唱団はコンクールでも優秀な成績を収める、伝統の歌声を披露した。「この広い野原いっぱい」「そうらん節」「ひょっこりひょうたん島」「ドレミの歌」などを歌い、昨年は大分のグランシアタでミュージカルを発表しただけあって、すばらしくきれいな歌だった。
ふくちゃん
    
ふくちゃん」こと福田晃一郎さんも「おもちゃ箱コンサート」とは長いつきあいである。今回は、故・河端洋安さんの残した詩の3編「鼓動」「キャンディー」「涙」に曲をつけてギターで歌った。彼はもう教職を捨てて、シンガーソングライターでメシ食えるんじゃないか?
 芦刈昌信
    
本日のトリはやはりこの人の詩の朗読である。「命」「ずっと側で」「思い出」
思えば彼の詩暦は長い。故・河端君もそうだが。石垣原養護学校の高等部の時に詩作を始め、卒業後も西別府病院で療養を続けながら詩を作り続けた。二人が詩集を出版するのを少しばかり手伝ったが、出版社に渡す前の原稿を読みながらあふれるばかりの瑞々しい感性に圧倒されたものだ。
ラストコンサートには、かつて何度も参加した病院内のバンド「リアライズ」や、漫才コンビらぶあんどさん」の仲間から心温まるメッセージが寄せられ、会場に紹介された。かれらはみんな高等部の生徒のころから、文化祭の中心メンバーとして常にgood senseを結集していた。そしてその中心にはいつも芦刈さんがいた。あれから10数年の月日が流れて、彼らは青年となり大人と成長し、芦刈さんもいいオッサンになった。しかし、感性と情熱は昔のままのようだ。
津高校のボランティアたち
        
このコンサートの会場が野津中央公民館になってから、ずっとコンサートの裏方となって支えてくれた多くのボランティアの中で忘れてならないのは野津高校の諸君である。今回も会場の壁面の飾り付けや受付、案内、司会など多くの場面で彼らの活躍があった。ありがとう。
コンサートのフィナーレは出演者と会場が一つになって、「世界に一つだけの花」を歌った。今日のコンサートのエンディングにふさわしい曲で、自分はよくは歌えなかったが、この歌は歌詞が好きだ。

そうさ僕らは 世界に一つだけの花
ひとりひとり違うたねをもつ
その花をさかせることだけに
一生懸命になればいい

小さい花や大きな花
ひとつとして同じものはないから
ナンバーワンにならなくてもいい
もともと とくべつな オンリーワン

            
 芦刈昌信さん、10年間「ありがとう、そしていつか…」