Himagine雑記

思いついたときに気ままに書く雑記帳

なごり雪

 21日(土)の朝日新聞土曜版の「うたの旅人」で、伊勢正三さんの『なごり雪』が取り上げられていました。この記事は、伊勢さんが南こうせつさんの誘いで「かぐや姫」に参加し、『なごり雪』を作曲するに至った背景や、作曲の動機や場面などが書かれています。『神田川』のヒットの後、作詞作曲のチャンスを得て初めて作ったのが『なごり雪』ですが、意気込んで神経を集中すると「今、春が来て、君はきれいになった」というメロディー、さらに歌詞が〈降りてきた〉のだそうです。頭に浮かんだのが,JR津久見駅のホームだったということです。伊勢さんは、高校時代は当時全寮制の大分舞鶴高校に在籍し、週末に津久見の自宅に帰り日曜の夜に汽車で大分の寮に戻っていました。厳格な校風に馴染めず、大分の寮に戻るのが嫌でたまらなかったそうです。
         
 ♪汽車を待つ君の横で
  ぼくは時計を気にしてる
  季節はずれの雪が降ってる
  「東京で見る雪はこれが最後ね」と
  さみしそうに 君がつぶやく
  なごり雪も 降る時を知り
  ふざけすぎた 季節のあとで
  今 春が来て 君はきれいになった
  去年よりずっと きれいになった♪

 ♪動き始めた汽車の窓に 顔をつけて
  君は何か 言おうとしている
  君の口びるが「さようなら」と動くことが
  こわくて 下を向いてた 
  時が行けば 幼い君も
  大人になると 気づかないまま
  今 春が来て 君はきれいになった
  去年よりずっと きれいになった♪

 ♪君が去った ホームに残り
  落ちてはとける 雪を見ていた
  今 春が来て 君はきれいになった
  去年よりずっと きれいになった♪ 
 
 何とも切ない、誰も過ごしてきたあの青春の来し方を思い起こさせるすてきな歌詞ですね。
                  
 歌詞では東京駅を発車するブルートレインですが、伊勢さんがイメージしたのは、津久見駅を発車する日豊本線ディーゼルカーだったのです。『なごり雪』は75年に歌手のイルカさんが歌い、ロングヒットを続けたのはご存じの通りです。
 3月13日,JR大分駅に1200人が集まりました。大分駅発東京行きのブルートレイン「富士」の最後の姿を見送る人々です。「かぐや姫」のメンバーだった森進一郎さんの『なごり雪』の歌に送らて、最終便の上り便寝台特急「富士」は旅立ちました。はじめ、なぜここで『なごり雪』なのかわかりませんでしたが、歌詞の「汽車」が東京発のブルートレインだったと知り納得しました。それにしても、この歌は早口言葉のようである上に、やたらとシンコペーションの多い難しいリズムです。だから私がすっと歌えるのは「今 春が来て君は きれいになった 去年よりずっと きれいになった」の部分だけでした。
ところがなんと、好きな曲だけどこの難しい『なごり雪』を、
NHK衛星第2放送番組で歌った!!のです。
「おーい、ニッポン 私の好きな大分県」の「ふるさとラプソディー」(2006年12月3日放送)
の4曲の中の一つが『なごり雪』でした。大分交響楽団60名のオーケストラと大分県合唱連盟200名の混声合唱の共演で、私も合唱団テノールの一員として歌うことができたのです。もう2年半も前のことですが、懐かしくも楽しい想い出です。