Himagine雑記

思いついたときに気ままに書く雑記帳

 三月の甘納豆のうふふふふ

       

坪内稔典という俳人には遊び心の俳句が多い。というか、何じゃこりゃ、と凡人には訳のわからないと思える俳句なのだ。タイトルの句は話題となった句であるが、実は甘納豆の句は三月だけではない。
一月の甘納豆はやせてます
二月には甘納豆と坂下る
三月の甘納豆のうふふふふ
四月には死んだまねする甘納豆
五月来て困ってしまう甘納豆
甘納豆六月ごろにはごろついて
腰を病む甘納豆も七月も
八月の嘘を楽しむ甘納豆
ほろほろと生きる九月の甘納豆
十月の男女はみんな甘納豆
河馬を呼ぶ十一月の甘納豆
十二月どうするどうする甘納豆

三月以外は、どうも図にのっておふざけで作ったのではないだろうか。
稔典さんはある俳句雑誌に次のような文を書いている。
「娘が小学校で初めて俳句を作った。お父さんの<三月の甘納豆のうふふふふ>を教えたら、友人が<三月のひな人形のうふふふふ>に。学校から戻った娘は「お父さん、これからはこっちを使ったら」と、自信たっぷりに言ったものだ。」
 稔典さんには次の句もある。
たんぽぽのぽぽのあたりが火事ですよ  たんぽぽのぽぽのその後は知りません 
もともと俳句には遊び心はつきものだが……NHK「俳句王国」で時々ご尊顔を拝するが、これらの句と、あの訓話中の校長先生そのものの謹厳実直な顔とが結びつかない。