Himagine雑記

思いついたときに気ままに書く雑記帳

源平桃

       
 giyuーさんから写真のようなきれいな紅白の桃の花の画像添付メールを戴きました。1本の木から紅白の花が咲くこの桃を今頃あちこちで見かけますが、「源平桃」という雅な名を持つハナモモの一種です。なるほど源氏の白と平氏の赤の旗の色からとったものですね。
 桃は梅や桜と同じくバラ科の落葉樹ですが中国黄河上流の高原地帯の原産とされ、日本へは奈良時代の初め頃に渡来したと伝えられています。中国の西王母の園に、3千年に一度花咲き実る聖なる桃の伝説があります。この伝説に基づいて、三月三日に桃の花を盃に浮かべて飲むと、邪気を祓い、長寿を得ることができるという信仰が育ったものと思われます。桃は三月三日の桃の節句を通じ、日本の民間風俗に深く関わっています。桃から生まれた桃太郎は元気な男児の象徴ですね。
和歌や俳句では 
大岡信さんによれば、和歌では梅・柳・桜のように好んで詠まれる題材ではなく、桃の花は俳諧において多く親しく詠まれているということです。和歌できわだっているのは、
春の園紅にほふ桃の花下照る道に出で立つ娘子(をとめ) 大伴家持万葉集 です。
俳句にはたくさん詠まれていますが、いいなと思う、好きなものを数句挙げましょう。
立つ馬の尻こするなり桃の花 一茶
船頭の耳の遠さよ桃の花 支考
桜より桃に親しき小家かな 蕪村
野に出れば人みなやさし桃の花 高野素十
無為徒食送る日に馴れ桃の花 高澤良一
桃の花乳房に埋まる嬰の目鼻 児玉素朋
故郷はいとこの多し桃の花 正岡子規
桃の花浮かべて雛湯ともうします 関澄ちとせ

 上に挙げた中の子規の句は、なぜか20代の頃から頭に残っている句です。