Himagine雑記

思いついたときに気ままに書く雑記帳

二人芝居「かもめ来るころ」 ― 松下竜一と洋子

         
今日、Oさんと音の泉ホールであった二人芝居「かもめ来るころ」を観に行った。開演20分前に行列の最後尾についた。思いがけず会場で梶原得三郎さんと会った。彼は、大分と中津で上演されるこの芝居のチラシを私に送ってくれた人である。というよりも、松下竜一さんの一番の盟友として、豊前火力建設反対闘争を闘った同志である。また、この芝居の中津公演(明日7日)開催の仕掛け人であるが、今日は明日の中津公演を前にじっくり芝居を観ておくための来館である。芝居の中にも梶本得さんの名で何度も出てきた。
企画制作をしたトム・プロジェクトの岡田潔プロデューサーが15年間暖めてきた作品というだけに、松下竜一と洋子さんの生活をあますことなく描き出し、二人の役を高橋長英と斉藤とも子が見事に演じきった。二人だけで演じるという形の芝居が、これほどまでに観客を惹きつけ心を揺さぶるものなのか、二人の演技力に驚嘆しながら、松下さんの才能と思想と優しさと反権力魂を追想することができた。28年前、水俣病を訴えて全国を「一人芝居行脚」をしていた砂田明さんの中津公演『海よ母よ子どもらよ』で感動したこと、その前座素人芝居で、松下さんが浪人を、私が吉四六を演じた吉四六芝居『徳利ん酒』を思い出した。
松下さんの著作30巻の全集刊行記念誌として、『松下竜一その仕事』が出版されてから早や10年経った。高校時代から61歳までの彼の人生がつまっている記念誌であるが、たくさんの写真とともに『豆腐屋の四季』から『本日もビンボーなり』までの42作品に及ぶ全著作自解も収められている。今日の二人芝居を観ながら、この『松下竜一その仕事』を読み返している錯覚にとらわれた。
梶原さんによると、明日の中津公演のチケットも完売状態だそうで、うれしい限りだ。