Himagine雑記

思いついたときに気ままに書く雑記帳

梔子(くちなし)の実

          
いつもの散歩の山手の斜面に梔子の実を見つけた。痩せた細い枝にとびとびに5,6個の実が熟れていた。秋に実るので、もっと早い時期に熟れているのが目に付いたはずだが、今まで気づかなかった。晩秋には、ほぼ同じところに鮮やかな紫のムラサキシキブが実をつけていたので、それに気をとられて見過ごしていたのかもしれない。渡哲也のヒット曲「くちなしの花」は、その歌詞のように6弁の真っ白なさびしげな花を梅雨時に咲かせる。香りがよいからだろうか、花も葉もすぐに虫に食われる。実は長さ2センチぐらいの楕円形でたてに5,6個の稜が走る。黄赤色に熟れた実は染料・薬用・食用着色料に用いられるが、こどもの頃、足に塗ったら足が速くなるといって、運動会の時に足を黄色にして走ったのを思い出す。肝臓やかゆみ止めの漢方薬の中に梔子(しし)という名で使われているようだ。今日は、5,6個しかない実を採るには忍びなかった。梔子の花は夏の季語、実は秋の季語となっている。熟しても口を開けないので「口無し」の名がある。
あさきゆめ梔子の香が濃かりけり 平井昭敏
梔子の実のつややかに妻の空 庄司圭吾