Himagine雑記

思いついたときに気ままに書く雑記帳

作家のペンネーム考

         カンムリカイツブリ
今朝の新聞に直木賞作家、泡坂妻夫の訃報。愛読したわけではないが不思議なミステリー作品があったように思う。独特の名前はそのペンネームで、本名、厚川晶男「あつかわまさお」をならべかえ、「あわさかつまお」として適当な漢字で「泡坂妻夫」というペンネームにしたというのは何かで読んでいた。
そのほか知ってる限りでは、夏目漱石。「漱石」は古い中国の誰かが、漱水枕石「水に漱(くちすす)ぎ石に枕す」を間違えて「漱石(石に嗽ぎ)枕水(水に枕す)」と石と水を逆にしして他人から間違いを指摘されたが、理屈をつけて強引に「漱石」を押し通した故事から、自分をへそ曲がりと自認していた漱石がこの名にしたらしい。また、二葉亭四迷は、小説・文学などやる奴は「くたばってしめえ」と親からののしられて「二葉亭四迷」としたんだとか。阿佐田哲也は麻雀狂で徹夜麻雀で気がつけばいつも朝になっていたからだ、と実にふざけて面白い。江戸川乱歩アメリカの探偵小説家エドガー・アラン・ポーから拝借というのはわかりやすい。
世の中にはいろんな人がいるもので、作家のペンネームばかりに興味を持って研究し、本にまとめた御仁もいる。題して『作家のペンネーム辞典』(佐川 章・創拓社)。何と235人もの文芸各ジャンルの作家のペンネームの由来を採録しているのだ。上に挙げたうろ覚えの5人の例のうちで、二葉亭四迷については自分の思いこみ違いがこの辞典で判明。これによると、「作家、ロシア文学者。本名は祖父辰蔵の一字をとり長谷川辰之助。明治20年、『浮雲』第1編、明治21年『浮雲第2編』を、それぞれ師の坪内逍遙の名で発表。そのころ、彼は師の逍遙の名を借りて自分の拙い小説を書くことを恥じ、また自分の才能を猛烈に卑下し、“くたばってしめえ”とまで思い詰めたという。(中略)ただし、第1編の内題とはしがきには二葉亭四迷の名が明らかにされてあり、小説が評判になるにつれて二葉亭の文名も上がり、明治22年7月、「都の花」に発表した『浮雲』第3編は〈二葉亭四迷〉の名で掲載された。(中略)ほかに、〈冷々亭杏雨〉〈四明〉などのペンネームがある。」。ニックネームの由来はどうも親からなじられたのではなく、自分を卑下して「くたばってしめえ」といったことによると納得。
ところで、このブログ名「Himagineの日記」の「Himagineの由来は、「閑人」とビートルズの[imagine]の合成語で、単に「閑人」をローマ字にした(himajin)にあらず、と一応コウシャクを述べておこう。