Himagine雑記

思いついたときに気ままに書く雑記帳

第5回 松下竜一忌

   
      
 松下センセが逝ってから早や5年が経った。今年も地元中津市で「草の根の会」主催の「第5回竜一忌」が中津市立小幡記念図書館で開かれた。「第5回竜一忌」のテーマは「抵抗権」である。この大上段に構えた「抵抗権」というお堅いイメージを、三人編成の即興音楽隊が「豆腐屋の四季」の主題歌などの開幕演奏で和らげてくれた。
      
 梶原得三郎「草の根の会」代表による主催者挨拶に続く映画『公害原論』では、松下さんの「反権力」の原点「豊前火力建設阻止闘争」の現場を再現した。今回のメインは、松下さんのよき理解者である評論家・佐高 信さんの講演である。題して『松下竜一に見る抵抗の様式』。        
      
 「テイコウノヨウシキ」などというこれまたお堅いテーマだが、それより松下竜一の運動を通じて知り得た彼の人となりをお話ししたい、と断って話し始めた佐高さんの話は、緒形拳さんや上野英信さん・岡部伊都子さんなどとの交友の話も交えて聴衆を飽きさせなかった。特に「豆腐屋の四季」時代の真面目な歌詠みの松下は好きだが、反権力・反公害・反戦運動の松下は嫌いだという評価が多いが、どちらも同じ人物の実像であり、なぜ歌詠みの青年が社会の矛盾に目覚めて権力に抵抗していかざるを得なかったのかを理解することが重要であると締めくくった。つづいて、『かもめ来るころ』の作者や松下さんの著作の編集者、高校生に松下さんの本を薦める校長さんたちが松下さんの想い出を熱く語った。 

 中津に早めに着いて、まず竜王にある松下家のお墓へ参り、闇無神社から川筋を遡って松下夫妻が犬を連れて毎日散歩した川べりを歩いた。梅雨とは思えない、真夏のような太陽に汗を拭き拭き一人で歩いた。竜一さんの母校である中津北高校(私の母校でもある)の跡地は当時のものらしき古い桜も何本か残っていたが、ほとんどが校舎移転後に新しく植えられた桜の青葉が噎せかえり、小さな公園を覆っていた。
 梅雨晴れの河口に汐満つ竜一忌