Himagine雑記

思いついたときに気ままに書く雑記帳

臘梅

     
 散歩中、民家の庭先に臘梅が咲いていた。2センチぐらいの黄色い花で、葉はまだ出ていないが枝いっぱいに花がつき、あたりがパッと明るく感じる不思議な花である。名前の由来がわからない。花が蝋細工のように見えるからかなと思ったが「蝋」と「臘」は違う字だ。たしか陰暦12月の異称で「朧月」ということばがあったのでは、と思ったがよくわからない。調べてみた。
(1)集英社の『大歳時記』には「花が蜜蝋のような光沢をもつのでその名がある」、(2)大泉書店の『現代俳句歳時記』は「朧月に咲く花だから臘梅だという説もあるが、単純にその花が黄臘で作ったような花だから臘梅というのだと考えてもおかしくはない」、(3)角川書店の『入門歳時記』には「臘梅の名は、この花が臘細工のような形状であるからとか、朧月すなわち陰暦十二月ころに咲き出すからといわれている。」とある。どうも三つとも誤解しているようだ。(1)は「臘」梅を「蝋」梅と書くと頭に置いた解釈、(2)、(3)の黄臘、臘細工も「蝋」と「臘」を混同している。つまり(2)の黄臘の「臘」は「蝋」の誤記、(3)の臘細工の「臘」も「蝋」の誤記である。したがって「臘梅」はあくまで「蝋梅」ではないのだから、(2)、(3)にある2説のうちの「旧暦12月朧月に咲く花から命名」というのが正しいと私は思う。 
 ロウバイ科の落葉低木で中国原産。だから「唐梅(からうめ)」という別名があるが、梅という字がついても臘梅は梅(バラ科)ではない。17世紀の初め、後水尾天皇のころ渡来したらしい。蘭のような高貴な香りを放つと歳時記にあるが、今日は写真だけで匂いを嗅ぎ忘れた。葉より前に黄色い花をつける、マンサク・ミツマタレンギョウサンシュユなどが咲くのはまだ先の3月だ。
  臘梅や薄雪庭を刷きのこす 水原秋桜子