Himagine雑記

思いついたときに気ままに書く雑記帳

 ゴーヤー


我が家の東側の狭い菜園にはランダムに夏野菜が育っている。キュウリやトマトが終わり、今、でかい顔をして成長しているのが、ゴーヤー(苦瓜)である。2階のベランダにまで這い上がって実をつけているので、晴雨、昼夜を問わず収穫には便利である。二株しか植えなかったのに、すさまじい成長ぶりで、2人とも好物なものだから、ほぼ毎日姿を変えたレシピで食卓に上っている。大概の野菜は連作障害が出るが、もう20年も同じところに植えているのに、土作りさえすれば、毎年よく育っている。味はその名の通りきわめて苦いが、この苦さが何ともいえぬ大人の味なのだ。ヒトは赤ん坊から大人へと成長する過程で、だんだん味覚が変わってくるが、五味(甘・酸・鹹・辛・苦)のうち、苦味をうまいと感じるのはかなり大人になってからであろう。好き嫌いは誰にもあるもので一概には言えないが、苦味が好きになれない人は、まだ十分大人になりきっていないのかもしれない。
このゴーヤー棚を毎日見ているつもりだが、油断すると葉の陰でオレンジ色に熟れていて、中にはパックリ口を開けて真っ赤な種子がこぼれていることもある。渋柿が熟柿になると甘くなるのと同じで、オレンジ色になったゴーヤーは、もはや苦味のかけらもなくなってしまう。種子を覆っているゼラチン状の部分はすこぶる甘い。この種子は洗って干して、来年にはポットにまいて苗を育てる。



今、目の前のベランダのゴーヤーを見ると、いくつかの黄色い花が咲いていて蜂や蝶が蜜を吸っているので、まだ実が生り続けるだろう。
かくのごとく、年々循環栽培しているゴーヤーも生りすぎて近所にあげるのだが、その際「苦いゴーヤーを食べますか」と聞くことにしている。押しつけになると、苦い顔をされるからだ。