Himagine雑記

思いついたときに気ままに書く雑記帳

 大きくなって帰っておいで

 8月10日(土)の夜9時から、日中の猛暑の熱がまだ残っている関の江海岸で、孵化したばかりのアカウミガメを海に放した。この日は、産卵箇所の保護・監視に当たったNPO法人大分環境保全フォーラムや古市自治会のみなさん等のお世話で、近くの子どもたちにも放流を観察する機会が与えられた。
          
               孵化したばかりの仔亀たち
 自然状態では、夜、孵化すると直ちに水平線の明かりに向かって一斉に海へ入っていくという。この夜は新月の満潮時、波打ち際に設えた人工の明かりに誘われて一歩いっぽ海に向かい、全身砂まみれになって一生懸命歩いた。その距離約40メートル、見守る子どもたちから「がんばれー!」の声援を受けて無事に波打ち際にたどり着き、寄せては引く波に乗って初泳ぎ成功。感動の一瞬である。思わず拍手。何匹かは寄せる波のなかで水際に戻される者もいたが、そのうちに沖の方へ消えていった。
          
                大海原へ向かってへ初泳ぎ
地元の関の江海岸におけるアカウミガメの上陸産卵は、大分環境フォーラムによれば、5月7日頃からだったと推定される。この日大海原へ旅立った亀は5月23日に産卵したものだそうだが、卵は無事育つだろうか、いつ孵化するのだろうかとやきもきしながら、散歩のたびに卵の保護柵を覗いたものだ。上陸の跡の第一発見者である関の江新町のTさんも、仔亀の旅立ちを感慨深そうに眺めていた。
 アカウミガメカニ・ウニ・クラゲなどを食べ外洋に出て20〜30年で成体になり、甲羅は1メートル以上、体重は180キロにもなるらしい。「亀は万年」と言うが、実際の寿命ははっきりわかっていないが、長寿には間違いない。一生涯に何千キロもの旅をし、GPS観測では太平洋横断7千キロを旅している個体もあるという。繁殖期に雌は砂浜に揚がって40〜190個(平均100個)の卵を産み、55日から75日で孵化する。繁殖期に雌は複数回産卵するというから、子孫を残す本能はすごい。たくさん産んだ卵も、条件によっては全て孵化するものではなく、孵化したばかりの仔亀も、カモメや大型の魚に食われて、成体になるのはごく一部だという。関の江の浜から大海へ旅立った仔亀たちは、どうか無事で、おとなになった雌は本能にしたがって、再び関の江の浜に帰ってきて欲しい。波打ち際に立っていたら、寄せる波に乗って足のすぐ近くに戻ってきた仔亀が「I shall return」と言ったようだったが、気のせいだったろうか。
  亀放つ再会真夏の夜の夢 渓石

追記 ◎関の江の浜のウミガメ上陸については 2013/5/27の本ブログ、Himagine雑記(検索)の「珍客さんいらっしゃい」に既述。   
   ◎大分県内のウミガメ情報については、「大分うみがめネットワーク活動」(NPO法人おおいた環境保全フォーラム)に詳しい。