12歳の文学 第6集
別府市から少女作家誕生
別府中央小学校の6年生(現、岩田中学1年生)の工藤みのりさんが、昨年に続き『12歳の文学 第6集』(小学館)の文学賞を受賞した。昨年の「ミレ」は審査員特別賞であったが、今回の「レンタルキャット」は堂々の大賞である。審査員によれば、かつて2年連続受賞はもちろん、連続で最終選考に残ったのも初めてだという。まさに快挙だ。おめでとう。
「レンタルキャット」は別府の温泉街に住む黒い子猫が主人公の物語で、いわば現代版「吾輩は猫である」だ。内容は直接読んでのお楽しみだが、審査員のこの作品への評価の一部を紹介しよう。
あさのあつこ 評
「これは、完成された作品です。…人間を書き分ける力を工藤さんは、ちゃんと持っているようです。…とても力のあるよい作品でした。うまさから言えば、抜群です。」
石田衣良 評
「語りのなめらかさ、構成、ともに文句なし。このまま楽しみながら書き続けて下さい。」
西原理恵子 評
「比喩表現がみごとだ。ラストにドンデン返しもあって。とても練れた作品だと思いました。」
樋口裕一 評
「…すこし図抜けている。…実に手際よく情景の雰囲気を作り出し、作品世界を構築する。小学生とは思えない。…微妙な動物の心理に読者を引き込む。…読後感は実にさわやか。…温泉街の描写もいいね。情景が目に浮かぶんだなあ。」
別府は湯の町、あちこちに湯気が立ち。あちこちに猫がいる。猫好きも猫嫌いも、別府んしは、この書道とダンスを特技とする別府が生んだ文学少女の作品を手にとって読んで欲しい。
工藤みのりさんについては、手作りの4冊の「小さな本」発行以来、昨年の『12歳の文学 第5集』まで、既に何度か当ブログで紹介してきた(2011/4/26「12歳の文学」等)。彼女の文学的資質はさらに磨かれ、その作品は「小さな本」からだんだん「大きな本」へと確実に成長を続けている。