Himagine雑記

思いついたときに気ままに書く雑記帳

白い花に白い色素はない

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昔のラジオ歌謡「白い花の咲く頃」のあの白い花は、木蓮だったに違いないと以前ブログに書きました。木蓮辛夷も既に散り果ててまぶしい若葉になっていますが、きょう出会った白い花は、白い躑躅と白い藤の花です。日本の四季折々の花は、赤・橙・黄・緑・青・藍・紫の虹の色や、それぞれの色が少しずつ混ざったような色まであって目を楽しませてくれます。真っ赤な躑躅には赤の、紫藍には紫の、山吹には黄色の色素があるように、白躑躅や白藤には白の色素があるのだと思っていました。ところが、白い色素というものはそもそも植物界には存在しないというのです。安田齎著『花の色の謎』には次のように書いてあります。

「白い花びらから白い色素を取り出したという話は聞いたことがない。植物界には白い色素はないのである。白い花びらから取り出すことのできる色素といえば、ごく薄い黄色か或いはほとんど無色に近いフラボン類の仲間である。しかし、これらの色素を水に溶かしてみても、けっして白色の液はできない。ほとんど無色透明の液ができるにすぎない。花びらの白さの本体は、花びらに含まれている気泡なのである。花びらの断面は複雑な形をしている細胞が不規則に連なって多くのすき間をつくり、スポンジのようになっている部分がある。このすき間は非常に小さいもので、ここに含まれている空気は一種の気泡になっている。無色透明の空気も小さな気泡となれば白く見える。水の中の小さな泡が白く見えるのと同じ理屈である。花びらの白色の本体は、この小さな気泡である。」