Himagine雑記

思いついたときに気ままに書く雑記帳

 ウルムチの騒乱

 
新疆で騒乱、死者140人、市民と警察、衝突  朝日新聞7/7朝刊
新疆騒乱激化、当局1400人拘束、漢族も数千人デモ 同7/8朝刊
 新疆ウイグル自治区ウルムチ市内で、6日夜騒乱があり、大勢の市民と武装警察が衝突したというニュースは衝撃的でした。中国国営の新華社通信は、「暴徒がデモ行進をはじめやがて暴力、略奪、破壊をくり返した」と報じています。また、中国中央テレビ(CCTV)が繰り返し放映したのは、バスやパトカーを複数の暴徒が襲う場面や炎上する商店などの映像ばかりで、デモ行進が始まった当初の様子や武装警官が実力を行使した場面はありません。一方ウイグル側の主張は真っ向から対立、世界ウイグル会議が6日に公表した声明は「ウイグル側がウルムチ市の中心地4箇所に集まり、計1万人が参加して平和的なデモで自らの不満を表した。しかしデモは多数の警察、軍の出動で武力鎮圧を受けた。」としています。
ウイグル族の不満とは
新疆ウイグル自治区の人口は2050万人、うち6割を漢族以外の少数民族が占めています。このうちウイグル族は、かつて「東トルキスタン共和国」として独立を宣言した歴史を持ち、今も分離・独立の動きがくすぶっています。その背景には漢族への強い不満があるのです。中国最大級の石油や天然ガスの資源基地であるにもかかわらず、大半は自治区外へ運ばれ、漢族の経済発展に比べて、ウイグル族は低い経済状態のままにおかれているという経済的不均衡への不満です。かつてウルムチトルファンカシュガルなどを訪れたとき、我々旅行者に説明をしてくれる案内人は地区共産党公認のガイドで、「解放以来、少数民族はすべて豊かになりました。少数民族の文化も要望も認めています。ウイグル族には一人っ子政策は強要していません」と、判で押したようなバラ色状況の案内が妙に気になったことを思い出します。
 

8月11日(火)晴 ウルムチから天池へ
天池へ向けて走るバスは、天山山脈を水源とする川を遡って悪路を突っ走る。途中の草原にラクダや馬(天馬という)を放牧している風景に出会い、車中は大歓声。荒野を抜けて麓が近くなると、水が透けてだんだん急流となり真っ白い泡のまじった清澄な激流に変わる。平地の濁流を見慣れた目に清々しい。天池は峻険な天山から流れた雪解け水を集めた氷河湖であり、避暑地として名高い。標高900メートル、人口185万人のウルムチからちょうど100キロメートルのこの天池は、ボゴダ峰を仰ぎ見る静謐で幻想的な、その名の通り「天の池」である。

上記は、30年ほど前にシルクロード天山南路を旅したときのメモの1ページです。ロバがひく荷車に兄弟5人を乗せて、トルコ人そのものの面差しの若いきれいなお母さんからほほえみかけられた平和な風景を思い出します。全人口の9割以上を占める漢民族と人口1割弱の55に及ぶ少数民族でなりたつ中国ですが、多数が少数を力で支配するのではなく、ウイグル族をはじめ、中国の少数民族の満足できる中国政府の政策を期待してやみません。
(※写真上の左は、ウルムチでパトカーをひっくり返す人々=6日、中国中央テレビ放映。写真右は、ウルムチ市内のウイグル族居住区で7日、集まった女性らが武装警官と向き合いながら抗議の声を挙げているところ。=奥寺淳写す  いずれも朝日新聞より)