Himagine雑記

思いついたときに気ままに書く雑記帳

 ハチクの木の芽和え

散歩の帰り、我が家から1分の裏山の竹林を覗いてみた。一昨日はまだ生えていなかったハチクが顔を出している。ここは「国有林につき入るべからず」の看板が立っているが、国がきちんと管理している様子は全く見られない。放っておけばやたらと竹が生い茂り道にまで進出してくるので、いつも今頃はハチクを採ったり、豆や胡瓜の手にするために、道にはみ出ている部分の小竹を採ったりして、増えすぎないように自主的にボランティアしている。入るべからず、の看板が竹の葉で毎年見えなくなっているから、枝を切り看板を見えやすくするサービスもしている。
今日は5本あまりのハチクを採って、サンショウの葉をすり鉢で摺り、木の芽和えを作った。竹かんむりに旬と書いて「筍」、孟宗竹に少し遅れて出てくるハチクは、今がまさに旬の筍である。
昨日採ったナマコとニイナとともに山の幸、海の幸それぞれのいのちに感謝して美味しくいただいた。 
     
サンショウは10数年前中津市からここ別府に引っ越した際に、庭先にあったものを移植したものだが、ずいぶん大きくなり何度か枝を剪定したが、切ったところから新芽を出して、この時期大いに重宝している。
     
さて、ハチクだが、マダケ、孟宗竹とならび三大有用竹の一つといわれる。中国から渡ってきたものでカラタケ(唐竹)、クレタケ(呉竹)とも呼ばれるが、漢字では淡竹と書く。今場所の横綱白鵬のように止めることができないほどの勢いを「はちくの勢い」というが、これは勿論「破竹の勢い」であって、このハチクではないことは言うまでもない。
ハチク(淡竹)は昔から茶道の茶筅や、和楽器の尺八・横笛・龍笛などの材料となり、聖徳太子愛用の尺八はハチクで作ったものだったという記録もあるそうな。ハチクの枝は細かく分かれているので竹箒に最適と、結構用途が広い。この竹藪にはホテイチク(子どもの頃ゴサンチクと言っていたと思う)も交じっているが、これは根元の節が詰まっていてグリップとして持ちやすく、こどもの頃、川向こうの山まで伐りに行き、釣竿にしたものだ。焚き火で炙って曲がりを直し、自分の釣竿を作るのは楽しみであった。そんなとき、枝を切ったり節を削ったりするために、肥後の守の小刀は必需品であった。
胡瓜やゴーヤーの支柱、ネット掛けなど、はては物干し竿作りなど、裏山の天然ものの竹や篠でまにあわせることができるのは、子どもの頃の遊び体験から身に付いたものが多いことに気付くのである。
釣竿はゴサンチクが佳し木の芽和え  古希漢