おめでとう、なでしこジャパン
準決勝のスウェーデン戦に続く決勝のアメリカ戦は、いずれも午前3時過ぎからにもかかわらず、初めから終わりまでしっかり目を据えてテレビ観戦した。決勝戦の前半の立ち上がりは、なでしこのお株を奪うようなアメリカのうまいパスワークに翻弄され続け悪い予感だったが、徐々になでしこらしい組み立てができはじめて双方無得点のまま前半終了。後半はスピードが身上のモーガンに先制されてしまったが、36分に宮間が二人の長身のDFの間を絶妙なシュート。宮間らしいゴールで追いつく。
1−1のまま延長戦へ。延長前半14分、アメリカの巨人FWワンバックの強烈なシュートでまた1−2と離されたまま、延長前半を終わる。延長後半に入りここからがなでしこの「あきらめない・ねばり」の見せ所、左コーナーキックの宮間のボールをエースの沢が右足のアウトで神がかり的シュート、GKソロが触ることもできずにゴール。
シュートのあとひっくり返った沢。MVPの決定的瞬間
延長戦も2−2のままで、ついにPK戦にもつれ込んだ。このPK戦前の両チームの表情を見て、テレビ桟敷の私はなでしこジャパンの勝利を確信した。絶対に勝たねばならんという緊張感でキリキリしているアメリカチームに対して、円陣を組んだなでしこチームにあるこの笑顔。結局、この違いがPK戦の勝敗を分けることになった。
緊張のアメリカチーム 笑顔の見えるなでしこジャパン
PK戦先攻はアメリカ。1番手のボックスのシュートは右端に構えていたGK海堀の中央寄りに決まったかと見えたが、反応よく右足を伸ばしてストップ。絶妙の足技でゴールを守った。
後攻のなでしこは宮間、坂口とゴール、あとアメリカが外せば日本の勝利かと見えたがそこは強豪アメリカ、巨人のワンバックが見事に決めた。これまで2−1、次の熊谷が決めれば日本の勝ちである。熊谷、落ち着いてシュート。これが決勝ゴールとなった。
一度も勝ったことのない強豪アメリカの猛攻に耐えて、勝利をつかんだ歴史的瞬間である。
みんなでつかんだ勝利とお互いを讃え合ったなでしこジャパン、チームはフェアプレイ賞を獲得し、キャプテン沢 穂希はこの大会5得点をゲット、自身の名前のように“誉れの”得点王とMVPに輝いた。
帰国した選手団は記者会見に臨んだ。通り一遍の感想ではなく、一人ひとり味わい深い磨かれた言葉で応えていた。そして夢をロンドンオリンピックにはせていた。彼女たちは、一戦一戦試合を重ねるごとに人間的にも成長していったように思う。
東京オリンピックを控えて1960年にドイツから招かれたサッカー指導者で、「日本サッカーの父」といわれたデットマール・クラマー氏は次のような言葉を残している。
「サッカーは子どもを大人に育て、大人を紳士に育てる。」
「試合終了の笛は、次の試合への準備の合図である。」
※ このBlogに使ったすべての写真は、NHKBS1のlive放送で見た印象に残る決定的瞬間映像を録画で見直して、画面をデジカメしたものである。