Himagine雑記

思いついたときに気ままに書く雑記帳

 蓮とオクラ

毎年のことだが今頃の時期、散歩コースの蓮池に上品な薄桃色の蓮の花が目を楽しませてくれる。         
あたりにはあえかな香りも漂う。仏教の世界では蓮花(れんげ)と呼ばれ、極楽の象徴である。だから仏像は、蓮の花の台(うてな)の上におわす。花が終わってできる花托は漏斗状に発達し、表面の蜂の巣状の穴に緑色の実が詰まっている。蓮の古名をはちす(蜂巣)というのはこの形から来たものだろう。子どもの頃、青い実を取って食べようとしたが、えぐくて食べられたものではなかった。
くれなゐの八重てり匂ふ玉はすの花びら動き風わたるかも  伊藤左千夫     
     
 今年も我が猫の額ほどの菜園の一角に、オクラが実っている。毎朝黄色の、これまた上品な花を咲かせ、昼頃には萎んでしまう。オクラの実は切ると五角形の切り口を見せるが、今年は丸い品種のものを育てた。オクラは毎日見ておかないとすぐに太って堅くなるものだが、切り口が丸い今年のものは多少太りすぎても柔らかいのがいい。
このところゴーヤーとオクラが食卓に登らない日はない。苦み走ったゴーヤーと納豆とオクラのかき混ぜたねばねばしたのを食ってると、夏ばてしない(気がする)。 
蓮とオクラには共通点がある。どちらも花が朝咲いて午後には萎んでしまう。蓮の実もオクラの種もいくつかの穴の中に納まっているし、蓮の根(レンコン)も穴が開いている。在所ではオクラよりもハタケレンコンの方が通りがよかった。
ただこの二つ、蓮はスイレン科の多年草でインド原産なのに対し、オクラはアオイ科一年草でアフリカ原産と、全く出自の違うアカの他人である。
口楽しオクラの種を噛むことも  中村文平