Himagine雑記

思いついたときに気ままに書く雑記帳

 別府市内の芭蕉句碑

先日、中央公民館の講座「大分文学文人の旅」を受講。講師は俳人の「蕗」主宰倉田紘文先生で、紘文先生は月に一度の西部公民館句会で指導頂いている先生でもある。この講座で、松尾芭蕉の句碑が市内の4寺院にあることを教わった。これは興味深いことなので、インターネットで芭蕉句碑を検索してみると、大分県下に48基の芭蕉句碑があるるということを『芭蕉塚蒐』(編著:田中正三)で知った。それによると、別府市内には5基あり、その中の4基が先の講座で倉田先生の示した資料にあった。
ぽかぽか陽気の今日、地図を片手に、これら4基の句碑の建っているお寺に行ってきた。いずれの句碑も時を経て、刻字がほとんど読めないが、傍らに句が書かれた板標があった。
萬年山長松寺 別府市朝見一丁目
むすぶよりはや歯にひゝく清水かな 芭蕉
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○無量山長覚寺 別府市浜脇2−3
月かけや四門四宗も只ひとつ 芭蕉
 
○榮昌山西法寺 別府市中央町
古池やかはづ飛び込む水の音 芭蕉
 
人口に膾炙しているこの句は全国の至るところに句碑となっていようが、この西法寺の池のすぐ横に面白い石灯籠がある。上の右の写真のように、石灯籠の庇の先に、下の古池に今にも飛びこもうとしている蹲踞の姿勢の蛙の石像が刻まれているのだ。
○寶生山海門 別府市北浜2丁目
作り木の庭をいさめる時雨かな 芭蕉
   
境内にはいるとすぐ目の前に巨大なクロマツの古木が聳える。大きさもさることながら枝振り、見目形がすばらしい。市指定の天然記念物で“しぐれの松”という。いつ頃誰が建てたのか、松の名前がこの句から生まれたのか、この句から時雨の松と呼ばれたのかについては定かではない。
僅か4基ではあったが、そこここに梅の香を嗅ぎながら早春の陽光の中を独り、句碑巡りを楽しんだ。
それにしても、田中正三氏の『芭蕉塚蒐』は北海道から鹿児島までの芭蕉句碑2442基を、種類ごとに建立年・建立者等を調べあげた驚嘆すべき労作である。
句碑の字にはせをと読めり梅日和 古希漢