Himagine雑記

思いついたときに気ままに書く雑記帳

花茨

        
ここかしこ岸根のいばら花咲きて夏になりぬる川ぞひの道                     木下幸文
 我が家の下の方に冷川(ひやかわ)が流れています。十文字原東部の表面水と渓谷の湧水を集めて関の江海岸に流れ込む川で、別府市街地の中では唯一の温泉水の流入がない川です。距離は3200メートル、川幅の平均は5メートル、水位は平均0.10メートルというごくごく小さな川ですが、もうすぐ螢が見える季節となります。人為汚染の指標であるBODは小さく、別府市内で唯一AA類型の水質の良好な川です。もうずいぶん前になりますが、短大の学生達がこの川で稚アユの棲息を確認したという新聞記事を見たことがあります。このきれいな川の河口近くに、不届き者が空き缶や、なんと自転車を投げ込んだりしています、また河川管理が十分でなく流域が雑草でおおわていて残念です。この季節、白い茨の花が盛りを迎え流れに落ち込むように繁っています。
        
 野茨は山野のどこにでも見られる落葉低木で、耐寒性で花が多いので蔓バラの接ぎ木の台木に使われるそうですが、野生の野茨はいかにも生活力旺盛で、白い花は可憐です。シューベルト作曲の西洋の野ばらはピンクだそうです。蕪村に有名な句があります。 
愁ひつつ岡にのぼれば花いばら  蕪村    
 先日の俳句会でも佳句がありました。
 迷はねばこの道しらず花いばら  三千子
 ついでに拙句  暮れなづむ小川いばらの花明かり