鶯

　　　　　　
　鶯の声で目が覚めた。時計を見ると５時４０分。鶯の声で目が覚めた。時計を見ると６時３５分。鶯の声で目が覚めた。時計を見ると７時３０分、起きた。５５分おきに起こしてくれるとは律儀な鶯である。
　鶯は「ホウー（法）、ホケキョ（法華経）」とありがたい声でさえずるので、「経読鳥（きょうよみどり）」の名もあるが、「春告げ鳥」の別称の方がなじむようだ。「梅に鶯」は花札の二月の絵柄だが、鶯が好んで梅が枝にとまる習性があるわけではないそうだ。現に梅の花の蜜を吸っている目白はよく見るが、鶯が梅に来ているのは見たことがない。
　裏山で鳴いている方へそっと近づき鶯の姿を確かめたが、余り目立たないむしろ地味な色だった。「鶯色」とか「鶯餅」というが、この色は鶯より目白の色である。
　今朝の鳴き声はまだ７分の出来で、夏に向けてだんだん正調に仕上がっていくのが楽しみである。
うぐいすに目覚めてきょうの日和かな