Himagine雑記

思いついたときに気ままに書く雑記帳

カイツブリ(鳰=にお)

 
カイツブリはハトを丸っこくしたぐらいの水鳥で、留鳥である。子どもの頃、池にいるのを見て名前を尋ねると、父は「ありゃ、ケーツーちいうんじゃ」と教えてくれた。以来、見かけるたびにアッ、ケーツーだと反射的に出てくる名前も、カイツブリというと何だか上品である。ケーツーはカイツブリの激しい音便化だろう。池沼や川に普通に見られ、かなり長く潜っては、あらぬところにポコッと浮いてくる。夏はペアリングして浮巣を作り雛を育てるので、つがいで居ることが多い。別府市内には大きな川や池がなく、関の江の冷川河口では時々見かけたが、昨年から大規模な海岸工事が始まってからはさっぱり見かけない。
わりあいポピュラーな水鳥なので、古くから歌や句に詠まれている。
はかなしや風にただよふ波のうへ鳰の浮巣のさても世をふる  式子内親王
鳰の浮くのを見やしゃんせ〔柳河〕  北原白秋
親と子の一つの水輪かいつぶり  瀬戸十字
かいつぶりさびしくなればくぐりけり  日野草城