Himagine雑記

思いついたときに気ままに書く雑記帳

七種粥

セリ・ナズナゴギョウハコベラホトケノザスズナスズシロこれぞ七草。
今日は七草。漢字はえらく難しい。芹・薺・御形・繁萋・仏の座・菘・蘿蔔(清白)と書く。命名にはそれぞれいわれがある。セリ(根白草 一つところにせりあって生える)・ナズナペンペングサ 果実の形が三角形で三味線のバチに似ている)・ゴギョウ(母子草 茎の端に小さな頭花が球状に集まって咲くのが、子が母にまとわりつく様子に似ている)・ハコベラ(はこべ 茎が長く連なってヘラのようにはびこる)・ホトケノザ(田平子 葉っぱを上から見ると仏の座布団のような形をしている。また、田に平たく葉をつけているから田平子という)・スズナ(蕪)・スズシロ(大根)。
 七種粥平安時代は米・粟・黍などの七種の穀物を炊いて粥にしたものであったが、鎌倉時代になってから今の七草になったらしい。もともと、病気を予防し邪気を払うという宮中の行事であったのがだんだん庶民の間に広まった。(以上『年中行事を「科学」する』(永田久著)
 昨日、スーパーにJAおおいたの「七草セット」が出ていた。スズナスズシロ以外はまだ芽を出していない時期だから、店頭のパック七草は市場用に栽培したものである。ずいぶん前に、天瀬の人が正月明けは七草の出荷で忙しいと話していたのを思い出した。七種粥の1月7日は当然旧暦の行事なので、新暦では約1ヶ月遅れであるから2月初旬には草ぐさが顔を出していた訳だ。
 わが家の狭い庭畑に毎年60本の青首大根を作る。春先になると畑にハコベラホトケノザがぐんぐんはびこってくる。この二つの生命力は旺盛で、抜いても抜いても生えてくる。油断すると畑全体を席巻するのでわが家では雑草として忌み嫌われる存在である。だから店頭の七草パックを見ると、こんな雑草(セリ・スズナスズシロ以外)をよく食うなと思ってしまう。
  
ホトケノザには二種類あって、一つはシソ科オドリコソウ属の越年草である。これは、上部の葉の腋に紅紫の花をつける。和名は花の下の半円状の2枚の葉を仏の座に見立てたもの。ところが、こちらは春の七草ホトケノザではない。もう一つは和名をコオニタビラコ(小鬼田平子)といい、キク科ヤブタビラコ属の越年草で早春から黄色い花を咲かせる。こちらが七草の仏の座といわれるものなんだが、こちらは上から見る葉っぱの形は仏様の座布団には見えず、たんぽぽの葉に似ているのだからややこしい。ところが、手元の『広辞苑 第4版』(岩波書店)と『自然大博物館』(小学館)は以上の解説だが、『日本語大辞典(講談社カラー版)』は、前者のシソ科のホトケノザを写真入りで「春の七草の一つ、タビラコの俗称」としているからますますややこしい。店頭の七草セットには、シソ科のホトケノザと、キク科のコオニタビラコのどちらが入っているのだろうか。セットを買った人は教えて欲しい。
僕は今から春、夏にかけて目が腐るほど見なければならない前者シソ科のホトケノザの方が、葉っぱが仏の座に似ているからこちらを七草と考えたい。ただし、食う気はしない。わが家は二人ともだいの大根好きである。まだ30本以上は残っている春の「一草}スズシロだけを日々、賞味しよう。
 あをあをと春七草の売れのこり  高野素十
 大根引き大根で道を教へけり   小林一茶