Himagine雑記

思いついたときに気ままに書く雑記帳

 桜紅葉


 前の公園の入り口に桜の木がある。紅葉して殆ど散っているが、わずかに残る紅葉が日に照って美しい。桜紅葉は楓紅葉や櫨紅葉のように華々しく真っ赤になることはなく、黄色や褐色や病葉(わくらば)が交じったりで、やや地味な紅葉である。春、美しい花を咲かせた桜は、他の落葉樹に先駆けていち早く紅葉を始める。清少納言が「桜の葉、椋の葉こそ、いととく落つれ」(『枕草子』)と言っているように、落葉も早い。
 葉っぱが繁っているときは気がつかなかったが、枝先には既に固いふくらみがある。冬木の芽だ。今から厳しい寒さに耐えぬいて、3月の終わり頃の陽気を伺いながら開花を待つ。健気で強かである。

桜紅葉しばらく照りて海暮れぬ  角川源義