Himagine雑記

思いついたときに気ままに書く雑記帳

「新聞」甲斐と越後 毎日新聞(2014/2/22)より



上の写真は新潟県上越市山梨県甲府市に派遣した除雪ドーザーであるが、関東甲信地方を襲った記録的な大雪により交通アクセスが遮断され、山梨県のあちこちに孤立した集落が続出しているため、派遣は上越市甲府市との災害時相互応援協定に基づいて行われた措置だ。この除雪ドーザーの車体には「甲斐の皆様 もうすぐ春です 頑張ってください」というメッセージが貼られている。派遣された作業員たちは「毎年雪が降るが、春になれば雪がとけて明るい光が差す。だから希望を持ってほしいという気持ちを込めた」という。上越市役所には「言葉がうれしかった」「迅速な救援、お礼申し上げます」等のメールや電話が6件寄せられた。戦国時代、越後の上杉謙信が敵対する甲斐の武田信玄に「塩を送った」という逸話を思い起こさせてくれると、話題になっている。

上記が記事のあらましであるが、「敵に塩を送る」という逸話のもとには次のような事情がある。海に面した今川氏と北条氏がこれまでは海のない武田氏に塩を売っていたが、同盟を破った武田氏に今川、北条両氏が塩の交易を中止つまり経済封鎖を行った。ところが越後の謙信は、これまで通り宿敵の信玄の甲斐の国に塩を売り続けたというもの。謙信としては、塩を売って利益を得るための経済政策の続行にすぎなかったのだが、のちに褚山陽が「苦境に立っているときは敵であろうとも、援助の手をさしのべる」というふうな美談にしたてあげた、という説がある。

 新聞記事に戻って、新潟県山梨県が今敵対関係にあるわけでは勿論ないが、災害時相互応援協定に基づいて上越市から甲府市にガンバレというメッセージつきの除雪ドーザーと作業員が派遣され、これに対して甲府市民からお礼のメールや電話が送られたという事実は、確かに「塩を送る」という逸話を思い起こさせるものである。
上越市から甲府市への援助だけでなく、新潟市前橋市に、また新潟県と県内6市から山梨、群馬、埼玉の3県に除雪車や職員、委託業者などが派遣された。

そこで思い出すのは一昨年7月の大分県北部日田、中津の豪雨災害である。山国川の中、上流域では今でも重機が川に入って復旧工事をしている。あの大水害の時に、隣県の福岡県とは災害時相互応援協定というものはなかったのだろうか。福岡県から行政を通じた組織的な応援があったかどうか、寡聞にして知らないが。