Himagine雑記

思いついたときに気ままに書く雑記帳

 散歩で出会った花

猛烈に暑い夏が過ぎ、すぐに急な寒さがやってきたり、暴風雨や洪水、崖崩れに見舞われたりと日本列島の気象はめまぐるしく変化しましたが、季節は間違いなく巡っています。多少の気の早さや遅れはあっても、秋の花々が今年も目を楽しませてくれます。
以下は今日の散歩で出会った路傍の花たちです。

石蕗(つわ)は冬の季語ですが、もう近所のいたる所に咲いています。
夕闇に石蕗の明かりのまだ消えず 星野 椿
紺、黄、白と色も種類も多い野路菊(ノジギク)です。
頂上や殊に野菊の吹かれ居り 原 石鼎

最近、休耕田を活用して一面のコスモスを咲かせて人寄せをしているところがあります(近在では中津市三光村のごとし)。秋桜の表記も美しい。
燈台のコスモス海になだれおつ 石原八束
露草は月光を浴びて咲くので「月草」、蛍の光を思わせるので「蛍草」など風雅な名前も持っています。
露草も露のちからの花ひらく 飯田龍太

紫式部の実は「実紫」ともいいます。
紫になほ遠けれど実むらさき 藤田八郎 という句を歳時記で拾いましたが、きょう見た実は、すでに立派な紫色をしていました。
セイダカアワダチソウは昔の歳時記には載っていません。ご存じ、黄色い花を咲かす、2〜3メートルにも伸びる北アメリカ原産の帰化植物。明治の頃渡来し、荒れ地や休耕田に大群落をつくっています。炭鉱の閉山が相次いだ頃猛烈な勢いではびこり始めたため、「閉山草」(月草や蛍草のような雅名に比べると、身も蓋もないネーミングですなー)とも呼ばれたと歳時記にありました。花粉症の原因だとか、文字通り鼻つまみ者扱いですが、よく見ればきれいな黄色です。秋の季語ですが、セイダカアワダチソウを指折り数えると10音にもなりますよ。この季語で一句作ろうとすれば、あと7音しか残りません!それでも果敢にチャレンジした人がいます。 
背高泡立草鉄砲隊をひた隠し 星野紗一
背も高い、音も長いこのセイダカアワダチソウ、星野さん、漢字を使うことで少しは短く見せました、が、やはり字余りとなったのはいたしかたありません。しかし、最初に漢字で持ってくると、5字も字余りの不自然さを感じないから不思議です。上手な、好きな句です。

秋の七草の一つのフジバカマはあまり目立ちませんが、このほど、大型の蝶アサギマダラがこのフジバカマの蜜を好んで吸い、海原遙かを渡る途中大分県姫島村で羽を休めるとかのニュースを見ました。きょう、宇佐の知人がその姫島村まで行ってアサギマダラの写真を撮り、写メールで送ってくれました。
藤袴にもひとこゑや山鴉 藤田湘子
敗荷(やれはす)または破れ蓮(やれはちす)です。耳で聞いてもわかりにくいのですが、漢字とこの写真を見れば一目瞭然です。7月ごろ、お浄土の象徴でもあるあえかな香りを放つあの優美な蓮の花も、秋になればこのように刀折れ、矢尽きた表情に変わり果てます。しかし、風流人は風雨に破れた蓮の葉にこそ風趣を感じるのです。
さればこそ賢者は富まず敗荷 蕪村

草の実をつけ行った先訝られ 十遍捨逸句