Himagine雑記

思いついたときに気ままに書く雑記帳

 美しい虫たち

    
    
今年は長い猛暑日が続いたせいか、彼岸花の盛りが遅い。狭畑の端に植えてある紅白の彼岸花は、白花が咲きに咲く。この彼岸花に毎日アゲハチョウが来て蜜を吸う。同じ狭畑の隅にミカンとカボスの木があり、この若葉に毎年アゲハが卵を産み付け、幼虫が育ち蝶となって羽ばたいていく。そして、すぐ隣の彼岸花に毎朝何匹かのアゲハが集まってくる。
緑色の幼虫はあっという間に柑橘類の若葉を食べてしまうので、見つけ次第殺していたが、したたかに生き残ったのが妖しいまでに美しい姿を見せて飛び回っている。よく見れば、ナガサキアゲハとクロアゲハが多いようだ。図鑑によれば、写真はナガサキアゲハであろう。
磨崖仏おほむらさきを放ちけり 黒田杏子    


       
今朝、シュンギクが芽吹いたプランターの中に、タマムシの骸を見つけた。4センチぐらいだろうか、実に美しい。まさに造化の妙である。タマムシは世界に約6千種、日本にも約百種もいるという。奈良の法隆寺玉虫の厨子は装飾金具の下にタマムシの翅を敷いているというが、いまだ見たことがない。手のひらに乗せ、太陽光の下で見ると光の角度でいろいろと色が変化して見えた。このことから、どちらにも有利に解釈できることを「玉虫色」などというが、あまりいい意味で使われなくて、タマムシには気の毒だ。
ところがタマムシは吉兆ともされて「吉丁虫」の名もあるといい、紙に包んで箪笥に入れておくと衣装が増えるという言い伝えがある(新版・俳句歳時記 雄山閣)そうな。
 玉虫の羽のみどりは推古より 山口青邨