Himagine雑記

思いついたときに気ままに書く雑記帳

 彼岸花考

日本人なら誰でも知っている秋の花・彼岸花ですが、田圃の畔に燃える真っ赤な彼岸花もそろそろ盛りが過ぎつつあります。
      
この彼岸花ほど名前の多い花も珍しいです。曼珠沙華死人花・幽霊花・天涯花・捨て子花・狐花・三昧花・したまがり等々。
曼珠沙華は赤い花を表す梵語に由来するそうですが、その他の名はどうもマイナスイメージが強すぎますね。球根にアルカロイドの有毒成分を含むので、昔、土葬の遺体を動物に掘り返されないように墓の傍に植えられて以来、墓地に多く咲くから死人花などと呼ばれたようです。また、田畑にモグラを近づけないように、畔に球根に毒のある彼岸花を植えたともいいます。昔は飢饉の時に、球根を水で何度も晒して毒を抜き、食用にしたとも伝えられます。花の美しい割には、日本では余り観賞用としては好まれませんが、欧米では園芸用の花として親しまれているそうす。
まれに黄色いのを見ます。  
      
彼岸花そっくりですが、ショウキズイセンです。スイセンの名がありますが、花期は彼岸花と同じでヒガンバナ科です。一名ショウキランともいいますが、ラン科の同名があり、混同を避けるために「スイセン」の名を使っていますが、前述のようにスイセンではなくあくまでヒガンバナ科の花です。ああ、ややこしい?!
赤色の彼岸花よりちょっと早く咲くシロバナマンジュシャゲもあります。
      
シロバナマンジュシャゲというが、単にヒガンバナの白色ではなくヒガンバナと近縁の上記ショウキズイセンとの雑種だそうです。そういえば、よく見ると真っ白ではなく少し黄味を帯びています。我が家の裏の道筋沿いに赤と白の彼岸花を交互に植えてありますが、珍しいのかシロバナマンジュシャゲの方は通りがかりの人に毎年、何本か折って持って行かれてしまいます。
黒揚羽が公平に三つのヒガンバナの蜜を吸っていきましたが、どの色の花の蜜が一番甘かったかは、つい聞きそびれてしまいました。夏水仙キツネノカミソリなどヒガンバナ科の花は結構多いようです。
曼珠沙華といえば、昔子どもの頃に歌っていた歌があります。
♪ 赤い花なら曼珠沙華 オランダ屋敷に雨が降る 泣いて別れたじゃがたらお春…♪
あとは忘れてしまいましたが、そのころ歌詞の意味など全く解りませんでした。おとなになってから、キリシタン禁教のために追放されたオランダ人との混血娘「お春」の悲劇を歌ったものだとか何とか本で読んだような気がしますが、しかと覚えていません。長崎土産に「じゃがたらお春」というお菓子があったような…。
悪童に斬首されたる彼岸花
白が咲き赤が続いて曼珠沙華