Himagine雑記

思いついたときに気ままに書く雑記帳

核廃絶は世界の潮流となるか

 米国は、日本への広島・長崎への原爆投下は戦争を終わらせるための手段として有効だった、との公式見解を変えずに今日まで来ていました。ところが、オバマ大統領が先月5日のプラハでの核軍縮の演説で「核を使用した唯一の核保有国として行動する責任がある」という画期的な発言をしました。
 ニューヨークの国連本部で5日、核不拡散条約(NPT)再検討会議が開かれ、その準備委員会で秋葉忠利広島市長と田上富久・長崎市長が国際NPOの平和市長会議を代表して演説しました。秋葉市長は「オバマ氏が大統領になり核廃絶を望む世界の圧倒的な多数派は、オバママジョリティーと呼ぶべきだ」と呼びかけました。また、田上市長は「核のない世界に向けての流れを、確実で力強い流れにしていこうと」と演説しました。NPT会議後、二人の市長はワシントンの米義会を訪れマロニー下院議員らと会談し、オバマ大統領の被爆地訪問実現への協力を要請しました。(写真は中央のマロニー下院議員と会談する左・秋葉広島市長と右・田上長崎市長=共同)
   
 米国民の原爆に関する感情には、真珠湾攻撃への感情とセットになっていて反省や後悔の念で語る国民は数少なく、二つの原爆投下は戦争終結のための正しい選択だったというのが大多数の国民感情だといわれます。そんななかで、大統領としてのオバマ氏の演説の背景には、テロリストが核兵器を所有するかもしれないという現実的な恐怖もあると思われます。また。北朝鮮の飽くなき核への執着や核軍縮が一向に進まないという現実を見るとき、オバマ氏が初めて「核を使用した国としての責任」をも明らかにした方が将来の米国の国益に添うという戦略があるのかもしれません。さはさりながら、「被爆地はオバマ氏の演説を聴いて感動に包まれた」と田上市長に言わしめたほど、日本にとってはサプライズなオバマ演説でした。しかし、オバマ氏が広島・長崎を訪問することと、核軍縮の国際会議が被爆国の被爆都市で開かれることが実現するまでは、核廃絶が時代の潮流になったとはいえないと私は思います。