Himagine雑記

思いついたときに気ままに書く雑記帳

江戸彼岸桜

 今日は生家の先祖のお墓参りをしてきました。父母の祥月命日と春・秋の彼岸には墓と仏前にお参りするのが習わしです。父は四月、母は6月が祥月ですが、両彼岸とあわせて四回の里帰りの道々の季節の花々や木々を楽しむことができます。今日は生家の畠の満開の「江戸彼岸桜」を見ることができました。
      
  
この桜は、7年前、親戚の宇佐市院内温見の徳應寺の故・宣正住職が実生から育てた苗を戴いたものです。徳應寺の江戸彼岸桜は下の写真のように大木ですが、この木の実生が7年間で上の写真のように成長しているのを見るとびっくりします。薄紅色の小ぶりな一重の花びらです。 
      
春の花といえば梅や桜はよく詩歌に詠まれますが、万葉集では梅は100首以上読まれているのに、桜は40余首にすぎないそうです。時代が下って古今集では桜は梅を逆転し最も多く読まれるようになります。この頃の桜は山桜が中心で、桜の名所の吉野や嵐山などは山桜です。江戸末期に染井村の植木職人達が山桜を改良して作りだしたのが「染井吉野」で、これが明治以降その華やかさで花見の主流の桜となりました。気象庁発表の桜の開花日や桜前線はみなこの染井吉野を規準にしています。大分市の今年の開花宣言は去る17日でした。全国的に開花宣言が1週間は早いようです。原種の山桜は軟らかい葉が出てすぐに一重の花をつけますが、染井吉野の派手さはないけれど、素朴な美しさに惹かれます。大分市高崎山はいま山桜の盛りで、別府から見ると、ちょうど花笠踊りの花笠をかぶせたように見えます。
江戸末期以前の詩歌に詠われる桜は、みんな山桜と思っていいと思います。
世のなかにたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし 在原業平
世の中は三日見ぬ間に桜かな 蓼太
見限りし古郷の桜咲きにけり 一茶