Himagine雑記

思いついたときに気ままに書く雑記帳

祝婚


我が男声合唱団豊声会の「押し掛け演奏」に行って来た。「押し掛け演奏」とは、団員の結婚披露宴のお祝いに会場に押し掛けてみんなで合唱することであり、豊声会の伝統〈行事〉となっている。ただ、団員の高齢化で、今はもっぱら団員の息子や娘の披露宴への押し掛けとなってしまった。きょうは、ベースのTさんのお嬢さんの華燭の典であった。定番の「いざ起て戦人よ」と「大地讃頌」を歌ったが、会場はすでにアルコールが入って賑やかになっていたので、「大地讃頌」の方は場のムードにはピタッとフィットしなかったかもしれない。ただ、花嫁の父が歌っている合唱団はうまいじゃんとか、男声合唱とはけっこう感じるものがあるなあと思ってくださった方が一人でもいて、40周年演奏会に足を運んでくれたらいいなあ、と少し不純な気持ちも抱いているのだが。
      

もうないかもしれないが、誰かの結婚披露宴に呼ばれることがあったら、次の詩を朗読したい。
祝婚歌  吉野 弘

二人が睦まじくいるためには
愚かでいるほうがいい
立派すぎないほうがいい
立派すぎることは
長持ちしないことだと気付いているほうがいい
完璧をめざさないほうがいい
完璧なんて不自然なことだと
うそぶいているほうがいいい
二人のうちどちらかが
ふざけているほうがいい
ずっこけているほうがいい
互いに非難することがあっても
非難できる資格が自分にあったかどうか
あとで
疑わしくなる方がいい
正しいことを言うときは
相手を傷つけやすいものだと
気付いているほうがいい
立派でありたいとか
正しくありたいとかいう
無理な緊張には
色目を使わず
ゆったり ゆたかに
光を浴びているほうがいい
健康で 風に吹かれながら
生きていることのなつかしさに
ふと 胸が熱くなる
そんな日があってもいい
そして
なぜ胸が熱くなるのか
黙っていても
二人にはわかるものであってほしい