Himagine雑記

思いついたときに気ままに書く雑記帳

 春隣り

     

予報通り雨となった。冬型の気圧配置がややゆるみ、起きしなの室温も14度Cまで上がった。わが家はふたりとも温風や灯油の匂いが嫌いなので、エアコンも使わず暖房はもっぱら電気ストーブである。部屋全体が暖まらず火鉢に近い熱源なので、暖「房」とは言いがたい。
倉嶋厚の『日和見の辞典』によれば、人々が「快適」と感じる室内気温にも、時代的変遷があるそうだ。昭和22年、室内で働く人の大部分が「快適」と感じた気温は16度C〜18度Cだったのが、昭和45年以降は軽作業の場合、男子は20度C、女子は23度Cとなり、近年は24〜25度Cに上昇してしまった。そして、ある銀行本店の調査によれば、男子従業員は暖房温度が22度を超えると上着を脱ぎ始めるというから、現代人は真冬に初夏の陽気を要求しており、それはまた、真夏に要求する冷房温度でもある。省エネルギーの観点からアメリカで推奨されている室内温度は夏期は78〜80度F(約26〜27度C)冬季は68〜70度F(約20〜21度C)で、日本では夏期28度C、冬季18度Cを推奨しているが、実際は暖房はそれより暖かく、冷房はそれより涼しい気温が好まれているという。このように、年中初夏の陽気の中で暮らし始めたヒトは、動物が原始的にもっていた環境の変化に対する適応能力を失い、健康にもよくないのではないかという反省も生まれている。貝原益軒の『養生訓』に「小児を育てるには、三分の飢えと寒さを存すべし」とあるが現代はさらに「三分の暑さ」も必要になったと言われている。
 以上倉嶋センセの本を面白く拝読しながら、自分は昔に比べ近頃寒さに弱くなったと思う。時代による「快適温度」の変遷と同時に、加齢によっても快適温度が変わってくるものだと思う。
誰が詠んだか「ひもじさと寒さと恋を比ぶれば恥ずかしながらひもじさが先」という狂歌を思い出した。春が待ち遠しい。とはいえ2月3日は節分、4日は立春である。
この雨が止めば春来るきっと来る