Himagine雑記

思いついたときに気ままに書く雑記帳

リストラ

       

 米リーンマンブラザーズに端を発した金融不安はアッという間に全世界に広がり、経済不況が深刻になっている。米自動車ビッグ3(GM・フォード・クライスラー)への140億ドルのつなぎ融資支援法案が、米上院議会の反対で行き詰まっている。国内の大企業も、特に輸出関連企業の下請け孫請け会社は倒産の危機に立たされ、非正規労働者の解雇が始まった。経団連会長のお膝元、大分キャノンも例外ではない。いわゆるリストラが始まったわけだが、東京新聞のコラム「筆洗」(12月11日)に次のような記事が出ていた。
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 経営者達は転換期に何を思い、何を考え、何を発見したのか。経営評論家の片山修さんの著書『人を動かすリーダーの言葉』のテーマである▼一九五五年から十一年間にインタビューした百十三人の経営者が登場している。「失われた十年」といわれた時代を乗り切った自信が随所にうかがえる。影響力の大きい経営者の言葉を、インタビュー時の肩書きで紹介しよう▼トヨタ自動車奥田碩(ひろし)会長。〈今流行の「リストラすれば企業の競争力が上がる」という主張は、二つの重要なポイントが欠落しているといえます。その一つは、「人間尊重」。即ち、あらゆる経済活動の中心にあるのは人間だという素朴な信念です。〉▼キャノンの御手洗富士夫社長。〈初代社長に就任した御手洗毅は、従業員が安心して幸せに暮らせる社会を作りたいという思いで経営しました。今日まで、この理念をずっと通してきましたが、何の不都合もありません。〉▼シャープの町田勝彦社長。〈人を辞めさせない、何としても雇用を守ってみせるという強い意志を、経営の歯止めとして明確にしておくことです。安易な人員削減に流れてしまったら、経営に対しても甘くなってしまう〉▼三氏の経営理念は近いのだろう。新たな転換期に突入した今こそ声高に唱え、実行していく時である。「今回は違う」では、情けない。
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 リストラ=解雇と一般にとらえられているが、そもそもリストラとは単に首切りのことだろうか。リストラは英語のre(再)structuring(構築)の略語で、企業が諸般の事情から、事業内容の規模に合わせて事業の再構築をすることである。特に、不況の時には、経営者は事業の洗い直しをして業務の効率化、労務関係の見直し等あらゆる面で経費の節減に努める。
したがって、あらゆる手を尽くした、人件費削減の最終段階として解雇があるわけであるが、経営者たる者の責任とうつわのありようは、上記シャープの町田社長の言に尽きる。

 今日、大分の解雇を言い渡された人々が労働組合を立ち上げたが、その役員は「会社は、いらなくなったといって、我々をモノのように切り捨てる。」という。県も既存の労組もできる限りの支援をするというが、師走の風は今から冷たさを増す。