Himagine雑記

思いついたときに気ままに書く雑記帳

 関の江海岸が変わる


気になる風景がある。毎日の散歩コースの中の関の江海岸である。冷川の右岸に沿って100メートル足らずの堤防ができたのは数年前であるが、いま更に南側に堤防が伸びつつある。何年か前、大きな看板が立ち、この工事が「関の江地区海岸環境整備事業」であることがわかった。さらに、これは「別府国際観光温泉文化都市建設計画に関する基本方針(別府都市計画マスタープラン)」の一環であることを、別府市のホームページで知った。それは「人が元気 まちが元気 国際観光文化都市へのまち育て」に向かって、住みつづけたい、訪れたいと思える都市となるように、わたしたちが協働し、”別府のまちを誇りに思い、愛着のもてる都市づくり”をめざす、とある。

しかし、この工事の進捗を毎日見ている関の江海岸の最も近くに住んでいる人達からは、「いっそ、いらんことんじょうしよる」という声を聞く。「誰かうんとどこからか大金をもろうちょるんじゃろ」とも。
今年の夏も海水浴場開きがあったが、工事のために泳げる場所は狭くなってしまい、海水浴客は殆ど来ず、アルバイトの監視員は櫓の上で雑誌を読み、イヤホンで音楽ばかり聞いていたようだった。

事業の完成予想図には、人口堤防に囲まれた砂浜が沖に開いているが、果たして砂が波にさらわれないのだろうか。大分の田の浦の人工海浜は、砂が沖に流されるためしょっちゅう砂をブルで搬入している様子を見るが。

別府市誌』によれば、関の江海岸は別府市に残る唯一の自然の砂浜海岸であり、ここに流入する冷川は、別府市内を流れる6つの河川のうちでただ一つ、温泉残水や生活排水が流れ込まないきれいな水質の川である。また海岸にはハマゴウやコウボウムギなどの貴重な植物群落がある。
住みつづけたい、訪れたいまちであり続けるためにというスローガンの下の工事が、自然環境をかえって破壊することにならないだろうか。むしろ今のまま人工的な手を加えない方が、関の江海岸直近の住民である私は「住みつづけたい」町という気がするのだが…。