Himagine雑記

思いついたときに気ままに書く雑記帳

案山子



秋の取り入れも終わり、田圃の案山子も役目を終えた。
最近、中津市山国町等山間部の田圃では、案山子や手作りの素朴な人形で昔ながらの農村風景を再現して注目を集めている。全く懐かしくも楽しいイベントである。特に、村を離れ都会に出ている人が帰って見たら笑い泣きする風景に違いない。
しかし案山子は、スズメを追い払う鳥威しこそが本来の重大なる使命として、雨の日も風の日も黙然として睨みを利かせ佇立しているのである。「やまだーのなーかーの1本あーしの」案山子はせいぜい目鼻のあるデフォルメされた人間らしいもので充分なのだ。マネキンに衣装をまとわせた人間そっくりの案山子の方を、スズメは偽物人間と見破ってしまう(のではなかろうか)。

いつか畦に寝かされた裸の女のマネキンを見たときはギョッとしたものだ。その時の衝撃を句にして昨年高野山俳句大賞に応募したら、何と入選してしまった。しかも拙句が板に書かれ1年間高野山の参道に掲示されたらしく、今年、わざわざ風雨に晒されたようなこの板を返送してくれた。以来時々弘法大師に手を合わせている。