Himagine雑記

思いついたときに気ままに書く雑記帳

 スズメバチ

 7月ごろからだったろうか、2階のベランダの波板屋根とその上の軒下の間の軒側の隙間に、しきりに蜂が出入りするのが見られるようになっていた。9月ぐらいから、隙間の外側の板壁に無数の蜂が群がり、どうやら新しい巣を作り始めたようだ。洗濯物の干し場から至近距離に半透明の波板越しにほぼ毎日観察していると、巣の表面積が日に日に広がって、表面が縞模様に変わってきた。どうやらスズメバチの巣のようである。
   
ネットで調べてみたら、スズメバチは最初の巣が手狭になると引っ越しをする習性があるというから、これは間違いなくスズメバチで、引っ越し後の住居の増築拡大に勤しむこのファミリーは、黄色スズメバチであるらしい。働き蜂が増えていくとさらに巣が大きくなり、巣を守るために攻撃性が強くなるそうだ。蜂は外からベランダの波板屋根の上を通って出入りするので、巣の真下から波板屋根越しの至近距離で観察できるのだが、ときどき巣への侵入経路を間違えた個体が屋根の下の洗濯物を干してある所へ飛んでくることがあって大変ヤバイ。
 ある日、働き蜂が巣の中から幼虫を咥えだしているのを何度か見た。そして、何匹か死んだ成虫の蜂が屋根の上に転がっているのを見た。他の種類のスズメバチに襲われたのだろうか。どうも彼らの生態にはわからぬことが多い。
     
    10月中旬 大きくなった巣
   
     咥え出されて死んだ幼虫
よく見られるスズメバチの巣は、下の写真のように、ハンドボールほどの模様の着いた茶色っぽいものだが、我が家のものは、立地条件がよろしくないのか平べったい建造物となっている。
   
   実家の柚の木にかけているスズメバチの巣
ところで、まだ軒下の閉鎖空間の中に営巣し始めて間もない頃と思われる8月10日、ベランダに干してあるタオルを取り入れようとして、右手小指の付け根に突然激痛を感じた。蜂だ。タオルで叩き落としたが、すぐ刺しあとに口をつけて何度か毒を吸い出したあと、水道の流水で洗って虫さされの薬を塗った。しかし痛みはいっこうに引かず、右手の甲は見るみる腫れあがってアンパンのようになった。まる1日激痛に耐えたが、3日目からは傷口が痒くなって痛みは徐々に引いていった。しかし、腫れは1週間も引かなかった。
 子どもの頃、アシナガバチに刺されたら自らの小便を引っかけたものだ。それで痛みが無くなったかどうかはしかと覚えていないが、アンモニア消毒になるから効くんだと教わっていた。物の本によると、小便には消毒できるアンモニアはないそうだ。
この8月際のの自分の応急処置の一つ、毒を吸い出すというのも間違いだそうだ。もし口の中に傷があると、そこから蜂の毒が浸透してさらに悪くなることがあるからだそうだ。冷水で冷やすのは、毒の回りを遅くするのに効果的だそうで、この処置は正しかった。
 スズメバチの毒は決して侮れず、アナフィラキシーショックで呼吸困難を起こし、生命の危険にさらされることもあるという。刺されたらすぐに病院で医師の処方を受けるべしということだ。
 我が家のスズメバチご一家様は、昼間の暖かい時間は活発に動いているものの、涼しい朝夕は活性が鈍っている。しかし、まだ10月いっぱいはスズメバチの活動期というので、刺激しないように、ベランダには蜂が襲いやすい黒っぽい服装はしない等細心の注意は怠らず、洗濯物干しや観察をしていこう。業者に頼んで(費用は最低5万円とか!)巣ごとジェノサイドという選択肢もあるが、昆虫とはいえ数多の生命を抹殺するというのは忍びない。せいぜい両国、いや蜂・人ともに緊張関係にあっても、領海侵犯をしないように接続水域内航行あたりに留め、平和的に互恵の精神で共存共栄したいものだ。ちなみに、相手からの不測の攻撃に備えて自衛のために、あくまで専守防衛のために、ベランダの出入り口にはスズメバチ用のスーパージェット殺虫剤と、叩き落とし用のバドミントンラケットを常備してはいるが。
 来年以降は、我が家ではなく、もっと立地条件や営巣条件のよい他所の地に豪邸を建設してもらいたいものだ。

蜂くれば人の顔して磨崖仏 加藤楸邨