Himagine雑記

思いついたときに気ままに書く雑記帳

 日本人よりも日本をよく理解

6月2日(日)、別府国際コンベンションセンターフィルハーモニアホールで、「第53回 外国人による日本語弁論大会」が行われた。主催は国際交流を進める国際教育振興会と別府市で、外務省・文化庁大分県・NHKなどの後援のほか、多くの企業の協賛を得て実施されたものである。この日本語弁論大会は何度かNHK・TVで視聴したことがあるが、今回は実物の弁士の弁論を目の前で視聴する機会に恵まれたわけだ。
  
大会は高円宮妃久子殿下のお言葉に始まる開会式のあと、22カ国・地域からの117名の応募者から、予選審査を経た11カ国、11名の弁士がスピーチを行った。高校生から主婦までの男性4名、女性7名の参加者は、それぞれの母国と比べて、日本語や日本の習慣の違い、日本人の勤勉さ、礼儀正しさなどまた、文化や自然の優れたところなどを巧みな日本語で熱弁を奮った。それぞれ瑞々しい感性に裏打ちされた鋭い観察力や批判精神をも込めて語られる言葉には、生まれてずっと日本を離れたことのない者には、新しく気づかされることが多かった。また、日本人として、ときに耳の痛い指摘もあった。 
  
第二部は「日本語と知り合う」と題する特別講演。講師は2008年、『時が滲む朝』で日本語を母国語としない作家としてはじめての芥川賞(第139回)を受賞した楊逸(ヤン イー)さん。
11名のスピーチについては会場の我々にも審査が求められたが、甲乙つけがたいスピーチばかりで、選考は悩ましい限りであった。審査員の審査結果は以下のとおり。
外務大臣賞:「日本の田舎に学んだもの」 山崎ランサム どりあ(アメリカ)
観察力、分析力、論理構成抜群で、日本文化論としてドナルド・キーンさんもビックリなさるような完成度の高い弁論と思った。この方は3人の娘さんを育てる主婦である。
 
文科大臣賞:「日本人の若者の「やばい」言葉遣い」 チャンビソンミッド パカム(ラオス)  
私がもっとも理解に苦しむ「やばい」は、この人も気になっていたようで、「そうだ、そうだ」と手を叩きたくなってしまった。大阪の専門学校生。
 
主催団体特別賞:「トイレから垣間見た日本人の心」 デン ヤ(中国)
いきなり「トイレの神様」の歌から入ったが、日本でアルバイトをしたときまずトイレ掃除をさせられて、トイレには神様いるということの意味がわかったという発見をスピーチ。三重の大学生。
会場審査員賞:「日本語の面白さ」 バッタライ ジナス(ネパール)
来日して2年間で学んだ日本語の面白さや難しさ、自分なりの漢字の覚え方などをユーモアたっぷりに披露した。出場者中ただ一人の大分市在住の専門学校生。受賞発表と同時に、同じ専門学校の応援団らしき集団から「オーッ」という声とヤンヤの喝采が起こった。

若い外国の方々から、改めて日本や日本人を見つめ直すことの必要性を教えられた弁論大会であった。

この日の大会の模様は、7月14日(土)午後2時=3時,NHKEテレで放送予定。