Himagine雑記

思いついたときに気ままに書く雑記帳

 もうすぐ蛍だ

 5月20日(日)、別府市の北部を流れる冷川(ひやかわ)で、「蛍の舞う冷川」を期待して河川敷の除草と清掃活動が行われました。Himagineは所用のため参加出来なかったので、冷川のホタルと親しむ会のメンバーの一人に、以下のような参加報告をしてもらいました。
     
     
            冷川ホタル物語
―――別府市関の江新町にかかる橋の下の冷川の中―――
………蛍の幼虫の冷子が川の中で昼食のカワニナを食べている………
冷子「ねえ源、いつも静かな冷川も今日は何だか騒々しいわね。」
源 「そうだなあ〜。俺もさっきから気になっていたんだけどさ、いったい何が始またったんだろう。これじゃー、落ち着いて食事もできやしないよ。」
冷子「それに、最近この川も何だか汚れがひどくて、好物のカワニナも減ってきたし、このままでは今年も何人の仲間が死んでしまうか心配よ。」
源 「それなんだよ、俺も最近おいしいカワニナが食べられなくて、少し痩せてきたみたいなんだ。」
―――OBCの駐車場―――
駐車場にはトヨタ自動車のブルーのAQUAが1台停まっており、その周辺を約100人のボランティアが取り囲んでいる。大分合同新聞社のA氏が拡声器で告げた。
A氏「皆さーん、1時半になりましたのでOBCの事務所の2階にお集まりください。」
………100人のボランティアがぞろぞろと2階に集まっていく………
    
A氏「皆様、本日はようこそお越しいただきありがとうございます。今日はここOBC様のご厚意によりまして、駐車場やこの会議室を無償にてお借りしております。では作業に入る前に、弊社の局長より一言ご挨拶を申し上げます。」
局長「本日は,AQUA SOCIAL FES 2012にご参加いただきまして誠にありがとうございます。このAQUA SOCIAL FESは、トヨタ自動車と社会と生活者の皆様が垣根を越えて成長し、よりよい明日を作ることを目指したプロジェクトです。日本全国50箇所のアクティビティを通じてみんな一緒に汗をかき、楽しみながら地域の社会を明るく変えていく為のキャンペーンす。大分県では、この冷川のホタルを育てる会が唯一選ばれました。今日はお天気もどうやらもってくれそうですし、さほど暑くはありませんが、川の土手で足場が狭く高くなっておりますのでくれぐれもお怪我の無いようにお気をつけください。今回は弊社の方で、ボランティア保険に入っておりますが特に小さいお子様連れの方は充分ご配慮ください。もし、万々一のときは。スタッフの方にお声をかけてください。では、本日の作業内容とスケジュールを冷川のホタルを守る会の高橋会長および奥様からご説明いただきます。では高橋会長どうぞ。
高橋会長「本日は、こんなに多くの皆様に集まっていただき、ほんとうにうれしく思います。今日のスケジュールを発表する前に、なぜここに蛍を呼び戻す事になったかを少しご説明申し上げます。」
………会長、数年前の冷川の写真や蛍が飛び交っている写真を見せながら説明………
会長「この冷川は、別府で、温泉の排水が流れ込まない唯一の川ですし、自然がまだ残っている川です。でも最近では、川の汚れがひどくなってきたし、川の中には瓶や缶、ペットボトル、大きなものでは自転車なども投げ込まれています。はじめ、この川にホタルを見に来たことから、何とか蛍をもっともっとみんなに見てもらえたらいいなあという思いから始めてみました。本日は皆様の御協力の下、川をきれいにしていきたいと思っています。何卒よろしくお願い致します。」
奥様「私は昔から蛍を見るのが好きで、主人といろんなところに蛍を見に行きました。そんな中、この冷川に蛍が出ることを聞いて見に来ましたら、なんとそれはみごとなイルミネーションの様でした。それから主人と二人で、何とかこの冷川の蛍を守ろうと、必死にやってきました。そのようなわけですから、本日はよろしくお願い致します。」
会長「それでは、本日の作業内容と、スケジュールを発表致します。ただ今13時45分です。13時50分から現場に行って川の周辺のゴミを拾っていただきます。ごみは我々蛍の会のスタッフ、すみません、スタッフの方立ってください。」
………スタッフ8名が、それぞれの位置で立って会釈………
会長「ありがとう。下の方のごみはこのスタッフたちが拾って土手の上に上げますので、みなさんはそれをゴミ袋に入れてください。その作業を約30分やっていただいてから、カワニナの放流を行います。これはお子さんとお父さん、お母さんと一緒にやっていただきます。では、川の方へ参りましょう。」
………全員、会議室を出て川の土手へ移動………

―――再び冷川の中―――
冷子「ねっ、源、源たら〜。土手の方を見てよ〜。」
………冷子、川の中から土手を見上げながら、源を促す。源、カワニナを探しながら、土手を見上げる………
源 「うわ〜!た、大変だ〜!川にごみを捨てにきたぞー、冷子速く逃げよう。」
冷子「ちょっと待ってよ源。あそこにいる人をよく見てよ。いつもこの川をきれいにしてくれて、しかも私たちの好物のカワニナをいっぱいくれる人じゃな〜い?」
源 「そう言われればそうだな〜。あの人たちがカワニナをくれなければ、今頃俺たちは飢え死にしているかもね?」
冷子「でも、今日はこんなにいっぱいの人たちが何しに来たのかしら?」
源 「きっと、いつもよりいっぱいのカワニナをくれるんじゃないのかな〜。それなら腹いっぱい食べられるよ。
冷子「そうならうれしいけど。でも何が始まるか様子を見てみましょうよ。」 
………源と冷子は、川の中に生えている草の根の陰に隠れ、土手の上の人々を見上げる………

A氏「皆様、本日は本当にお疲れ様でした。ただ今午後3時、おかげさまで誰一人怪我もせず、無事作業が終了致しました。それに、集められたごみはなんと110袋にもなりました。本当にありがとうございました。これで、6月の蛍鑑賞会のときはきっとゲンジボタルがいっぱい飛び回る事と思います。ではこれで解散いたしますが、最後にアンケートのご記入の上お帰りください。」
―――雨が降り出す。再び川の中―――
冷子「源、よかったわね〜、川がきれいになって、しかも好物のカワニナもいっぱいもらえて。」
………源、夢中でカワニナを貪っている………
冷子「なによ、源たら〜!!そんなに口いっぱいに入れ込んで〜。」
―――きれいになった冷川に、雨が降り注ぐ―――
                                                       完

                                               by ひげのヨッシー