Himagine雑記

思いついたときに気ままに書く雑記帳

ふるさとの文化財 「別府の棚田」

       
別府中央公民館主催の「古里の文化財」今年度最終講座を受講した。飯沼賢司別府大学教授の「別府内成(うちなり)の棚田」がテーマ。プロジェクターによる写真映像を示しながらのわかりやすい話であった。
1965年頃から日本の農業が規模拡大、機械化に伴って圃場整備を進めたが、急峻な傾斜地の棚田は取り残された。地球温暖化問題から自然環境の保持の重要性が叫ばれ始め、美しい自然景観を残す必要性が行政の側からも言われてきた。1999年、農林水産省が全国117市町村134地区の「日本の棚田100選}を選定したが、その中に大分県は6市町村6カ所が選ばれた。
棚田は他の文化財と違い、文化的景観としていわば「生きている遺跡」だとは教授の弁。内成は現在30戸の農家が1000枚の棚田を耕作しているそうだが、どこの棚田でももっとも重要なな耕作条件は水利である。内成の集落の奥まったところに石城(せきじょう)禅寺があるがその下に「水分け石」がある。この付近のわき水が「水分け石」に分けられて流域の棚田を潤している。内成には16もの井手や水路があり、毎年7月には16の水利組合の管理者達が集まり、「水分け石の祭礼」が行われているという。この集落には石城禅寺の他に蓮台寺という浄土真宗の寺院が現存するが、いずれも開基は仁聞菩薩という。国東の六郷山の寺院も仁聞菩薩伝説があるから、宇佐の弥勒寺とも何か関連があるのかもしれないという。鎌倉時代の古文書に「内梨畑」と見えるから、これがのちに「内成」となったのだろう。由布から国府、別府から大分という道筋を考えると、古代から内成は交通の要衝であったとも考えられるそうだ。
★内成棚田以外の「100選棚田」に入った大分県内の棚田
挾間町由布川奥詰
緒方町の軸丸北
玖珠町の山浦早水
・院内町の両合棚田
山国町の羽高棚田